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フリ魔女のポケット
一
コンビニには防犯カメラはあるがフリーマーケットの会場には防犯カメラがない。だから私はフリーマーケット強盗をすることにした。販売者に金を出せトイって売り上げ金をせしめれば後はとんずらするだけだが、どういうわけか私が飛び込んだフリーマーケットのお店には店員がいなかったのだ。トイレにいったのか? だとしたらすぐに戻って来そうだが今のところ、その気配はないようだ。
「あの、すみません」
背後から声をかけられドキリとする。振り返れるがこのお店の客のようだ。
「はい」
「販売者の方ですか?」
どうやらお店でうろうろしていたので、ここの販売者と勘違いされてしまった。面倒な事になった違うといえば揉め事になるし、そうですと答えると売らなければならない。しかし、考えてみると売りまくって売り上げ金を上げていけばぶんどった時の金額も相当なものになる。
「ええ、販売者ですが何かお探しですか?」
「よかった、デザインかわいいの多いから気になってたんですよ。これポケミンですよね。すっごく上手に裁縫してる」
「ありがとうございます」
もともとの販売者は手先が器用な女性なのかしら
随分丁寧なキャラクターの刺繍がされたポーチをいくつか店頭に並べている。フリーマーケットとあり値段は一袋百円か。裁縫は得意だけど商売はあまり得意な方ではないのかな。
「これから販売準備するところでして、これね単価をお求め易くして五袋で二百円にしようかと思ってるんです」
「五袋で二百円?そんな安くしていいんですか」
「私はお客様が喜んで下さるなら、それでいいんです」
「有り難い!」
「他のお店も見て回るなら、お買い上げしたものをたくさん入れられますよ」
「助かります。では二百円」
「ありがとうございますっ!!」
この店も完売するにはまだまだ改善の余地はありそう。舐めていたかも知れない。フリーマーケット会場。
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