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出会い
地下のライヴハウスから階段を駆け上がって地上に出た僕は、地面に
座り込んで喉が千切れるほど叫んだ。
「あああああああああああああーっ!!」
あああああああああああああーっ!!
あ、あぁ、あぁっ、あああぁっ......ぁっ、あぁっ!
あーっ!ああああああああああああああああああああああ!!」
この感情をどうしていいのかわからない。
だから叫んだ。
叫べるだけ叫んだ。
それでも出し切れなかった。
絶望と混沌と疲労が襲ってくるだけだった。
そのまま地面へと倒れ込んだ僕に、数人の男女が集まってきた。
東京という街は気まぐれに優しい。
「大丈夫ですか?」
「救急車を呼びますか?」
「起こすの手伝いましょうか?」
「どこか打ってますか?」
いくつかの質問に僕は首を横に振り、自力で起き上がった。
ふらつきながら泣きながら頭を下げた。
「ショックな、ことが、あって、ぱ、パニックを起こし、ただけです。
すみま、せん、ご、迷惑を、お、かけしま、した......」
途切れ途切れに涙声で言うと、ひとりの青年が瞬時に理解した。
「俺の友達にパニック障害持ちがいるから、わかるんだけど。
こういうときは大勢では囲まないほうが......」
そして別の女性が一歩、前に出た。
「私、看護師では無いのですが医療関係に勤めてますので。
ここは任せてもらえますか?」
「あ、じゃあコレ、どうぞ。中身あけてないんで」
別の男性がペットボトルの水を渡してくれた。
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