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差し入れの甘い果実を食べている。
けれどこのところ、食事の量も減りつつあった。
「通常の人間だった小鳥遊さんをゾンビにできたのですから。
元の身体、もしくは、こちらの世界の体質。
そう変えることができます。
どうですか?それとも、まだ復讐を続けたいですか?」
丸い澄んだ瞳の無垢で聡明な相手に言われたから。
なんだか妙に従いたくなった。
「復讐は終えます。けれど、僕はここにいます。
ミョナを待たなければならないので」
無邪気な顔でフキが笑った。
「とりあえず数ヶ月でいいので、こちらに来ませんか?
あなたの身体のメンテナンスをしたい。
ゾンビから通常の不老不死へと変化させられます。
そういう研究も進んだのです。
順子さんの生きてらした時代に、それができたら良かったのに......」
そう言ってフキが、用意していた白い花を波間へと投げた。
人として死んでいった順子さんへと。
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