パリパリパリパリ……

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パリパリパリパリ……

 小学六年生の冬。  学校への通学路、私はスカートのポケットに有名な垂れ耳わんこキャラが描かれた、お気に入りのハンカチを忍ばせて学校への道のりを急いでいた。  もうじき二学期も終わると言う冬の朝。  かじかむ手をポケットに入れて暖を取りながら、朝の冴えわたった冷たい空気の中、歩き慣れた道を学校へと急ぐ。  ポケットの中。  手に触れたハンカチをギュッと握ったら、ガーゼ生地の中でパリッと何かが砕けた。 (わ、何だろ。気持ちいい)  指に力を込める度、布越しにパリパリと言う小気味よい感触が伝わってくる。  私は夢中になって〝それ〟をパリパリパリパリ粉々に砕いていった。  そう。  これは緩衝材などに使われているプチプチをひとつずつ丁寧につぶしていく心地よさに似た中毒性があるかも知れない。  そんなことを思いながら学校への道すがら、歩きながらずっと――。  私はハンカチの中の〝何か〟を小さく小さく丁寧に粉にしていった。
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