第0章 プロローグ。

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第0章 プロローグ。

〈孫〉とは全ての人間が望む大切な存在であり宝物であると言っても過言ではないのでございます。 何故ならば…〈娘〉や〈息子〉には、 責任が生じるものの〈孫〉には…責任などは生じないと言う理由もあるそうで…そんな孫を期待されている女性はここにもおりました。 時は西暦2024年03月17日。 三橋麻美は34回目の誕生日を迎え… 背中に哀愁を漂わせていました…。 と、いうのも… 三橋麻美の母親・三橋玲於奈 「麻美、いつになったら 孫をこの手に抱けるのかしら?」 玲於奈(れおな)と言う名前は、 アメリカ人の祖父が名付けたらしく 日本では馴染みのない名前でした。 麻美の父親・三橋拓也 「そうだぞ、孫の名前は、 想くんにしたらどうだ?」 麻美の母親である玲於奈が日本人ではあるもののしばらくアメリカで過ごしていた事もあり日本の生活習慣に慣れず戸惑っていた頃、颯爽と現れたのが玲於奈の夫であり麻美の父親でもある拓也だったのです。   玲於奈「あらやだ、お父さん。まだ相手もいない内から孫の名前を考えてはいけません。まだ男の子か女の子かも分からないのだから…」 しかし… 拓也の方が玲於奈より気が早いようで性別を男児と断言し出す拓也に対して玲於奈はあきれ果てていました。 両親からの〈孫〉まだかコールが凄い為、 はっきり言ってしまえば辟易していました。 三橋麻紗美「まだ彼氏すらもいないのに… 孫まだかコールは勘弁して下さい…。」 そんな時、 初恋の人である高橋拓実から麻紗美のSNSに連絡が入りました。 To.高橋拓実 〈麻紗美、今から逢えないか? 渡したいものと話したい事がある。〉 三橋麻紗美「あら?拓実くんから連絡があって今から逢えないか?って言われたら行ってきます。」 麻紗美の両親「目が凄いな…。」 両親からのあきれ果てた視線など全く気にせず麻紗美は近所の灯台へと向かいました…。   すると… 高橋拓実「来ると思っていたよ、麻紗美。 俺の気持ちは中学の頃からずっと変わらないんだ…。だから俺と結婚を前提に付き合って貰いたいんだ…。ダメかな?」 中学の時からずっと好きだった高橋拓実から告白された三橋麻紗美は首をブンブン振り 何度も頷きました…。   高橋拓実「首、大丈夫?漫画じゃないんだからそんなに勢いよく首を振ると翌日大変な事になるんじゃないかな?」   麻紗美「だって私、自分に自信がなくてずっと言い出せなかったけど…私こそずっと拓実くんの事、大好きだったんだから…」 こうして麻紗美の初恋は19年越しに叶い 拓実は麻紗美にあるものを渡しました。 拓実「麻紗美、桜が好きだからこれを着て一緒に花見へ行きたいなと思って買ったんだ。」    それは… 麻紗美「スプリングコートだ…ありがとう。」 季節は春を迎えたとはいえ… まだ肌寒い日もそれなりにあります…。 だからこそ… 拓実「寒がりな麻紗美が震えないように…」 拓実から貰ったスプリングコートを早速着た麻紗美でしたが… 麻紗美「サイズ、ぴったりだね…。ありがとう、折角だからこのまま帰るね…」 拓実「うん。」 麻紗美から帰ると言われた拓実はどことなく寂しげではありましたが麻紗美は上機嫌でした… 麻紗美「拓実くん、大好き。」 拓実「麻紗美、心で思っている事が口から出ているよ…仕方ないな…でも俺も大好き。」 拓実と相思相愛で御機嫌な麻紗美がスプリングコートのポケットに手を突っ込むと… その瞬間、 ピカッ! 強い光が発生し次の瞬間、 拓実「麻紗美!?どこに消えた?」 麻紗美はまるで煙に巻かれたかのように 消えてしまいました。
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