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 ある男性、へびの目が人間の行動を支配するという本を読む。その直後、男性の部屋にへびがあらわれた。目が光っている。普通の部屋ならへびが出ることはないだろう。しかし、男性はとある博士の家に世話になっている。その博士というのが爬虫類を研究しているのだ。当然、へびもいる。男性は逃げだそうとした。だが、思い直す。わたしがへびごときにびびっていいのか。堂々と立ちむかうべきではないのか。男性はへびを恐れていないことを示すために、へびのいる部屋にとどまった。なにも起こるはずはない。しかし、へびの存在感は増していく。気がつくと、男性は体が動かなくなっていることに気がついた。へびの力か。男性は混乱に陥る。身動きの取れない男性にへびは容赦なく近づく。  同じ時刻、博士が男性の部屋から物音がしたのに気がついた。様子を見にいく。部屋に入ると、男性が死んでいた。なにがあったのだ。まったく理解できない博士が床にへびを見つける。へびといっても本物のへびではない。剥製でその目はボタンでできている。  男性の思いこみで剥製のへびを本物だと勘ちがいして死んでしまった話でした。人間の思いこみは強力ですね。
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