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 ある街をおとずれた神父、街で英雄とされている軍人の伝説を疑問視する。その軍人はすぐれた指揮官で数々の戦いを犠牲者すくなく切りぬけてきた。しかし、その軍人最後の戦いで大勢の犠牲者を出した上に、死体を木に吊るされた。最後の戦いの指揮官は敵兵に対して残虐な行為をすることはなく、捕虜すらなんの見返りもなく解放することで有名だった。損な指揮官が軍人を木に吊るした点も気になった。さらに吊るされた軍人は折れた剣を身につけていたというが、剣で戦う時代ではない。それに加え、軍人の剣は戦場へ行く前から折れていたとの目撃情報があった。神父が調査を進めると、軍人の部下があることに気づいていたことを知る。軍人は敵と通じていたらしい。大金の代わりに自国を裏切っていたようだ。裏切りを気づかれた軍人は戦場で部下を刺し殺した。その際に、剣が折れて部下の死体に突きささってしまった。戦闘がはじまれば死体は見つかる。剣の持ち主も明らかになるだろう。軍人は考えた。木を隠すなら森のなか、死体を隠すなら死体のなかだ。軍人は自らの軍隊に犠牲が出るように命令をして、死体を隠した。だが、不審な命令に兵隊たちは勘づいた。軍人を木に吊るしあげたのは軍人の部下たちだったのである。ただ、この事実は公になっていない。いまも軍人ゆかりのこの街では折れた剣が英雄の象徴として街のあちこちで見受けられる。  英雄とされている軍人が、じつは裏切り者だったという話でした。もとの小説はおもしろく、ストーリーも巧妙に組まれているのですが、あらすじでそれを再現するのはむずかしいです。
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