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葡萄園を営んでいる老人が殺された。銃で撃たれていた。葡萄園で雇っていた青年が行方不明になっており、地元の警察は青年を探しだして捕まえた。青年は殺していないといったが、なぜ突然行方をくらましたのかと聞かれると無言になった。裁判が開かれる。判事は裁判所の空気で青年の絞首刑を確信していた。だが、そのとき傍聴席から声が上がる。女性が立ちあがり、わたしが殺したといった。その女性は老人の娘でかつ、青年の恋人だった。老人は娘が青年とつき合っていたことを快く思っていなかった。そこで青年を追いだしたのだ。娘は復讐のために老人を殺した。裁判は中止となり、判事は死体の第一発見者である地元の人間とともに法廷をあとにした。判事は地元の人間を自宅に招待した。そこで裁判の話になり、地元の人間はいった。あの老人はたしかに銃で撃たれていたが、それが死因ではない。銃撃される前に毒を飲まされて死んでいたのだ。おそらくあの娘が老人に毒を飲ませたのだろう。青年のために罪を告白したのではない。はじめから老人を殺すつもりだったのだ。ひととおり話しおえると、地元の人間は帰った。つぎの裁判、娘が裁かれる。判事が死刑は免れないと思ったところで、また邪魔が入った。あの地元の人間が判事にいう。あなたが老人を殺したのでしょう。判事は動揺した。娘の犯行に見せかけるために老人に毒を盛り、青年が娘の犯行だと勘ちがいして罪をかぶろうとしたのを見るや、老人に弾丸を撃ちこんだ。あなたの家をたずねたときに調べたのです。殺害に使われた毒物の資料があることと、老人が死んだあと農場の土地はあなたのものになることを。もはや判事は言い逃れできなかった。
事件が二転三転する話でした。老人を殺したのは青年かと思いきや、娘が自白して、だがじつは判事が真犯人だったという話ですね。
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