26

1/1
前へ
/188ページ
次へ

26

 ある心理学者の男性、外国をおとずれて、好奇心からその地の寺院で一泊する。翌日、目を覚ますと事件が起きていた。昨日のこの寺院で結婚式を挙げたばかりの新婦が殺された。新郎に容疑がかかっている。心理学者は新郎の父から依頼を受けて調査に乗りだす。新婦が殺された夜、寺院には心理学者のほかに五人の僧侶がいた。眠っていてなにも覚えてないそうだ。しかし、そのポケットには新婦のものである宝飾品が入っていた。犯人が捜査をかく乱するために入れたのだろうか。そういえば自分も寺院で眠っていたことを思いだした心理学者はポケットを漁る。僧侶と同じように宝飾品が入っていた。自分も容疑者だと思われてしまう。学者はこのことを黙っていた。学者は犯人が僧侶や学者に薬を持って眠らせたのではと推理するが、証拠がない。やがて、新郎が犯人なのではと思いだす。だが、そこへ地元の警察がやってきた。学者を逮捕するという。寺院に泊まっていたことも、宝飾品を持っていたこともばれた。部屋を捜索される。身に覚えのない新婦の品が出てきた。学者は牢屋に入れられる。どうしてこうなった。学者が必死に考える。答えは出た。看守を呼ぶ。犯人は新郎の父親だ。わたしははめられたのだ。宝飾品の指紋やわたしの部屋を調べれば新郎の父親の痕跡が見つかるはずだ。看守はその必要はないという。すでに父親は自白したと。学者は聞いた。真犯人がわかったのならなぜ教えてくれなかったのだ。新郎の父親が自白したのはあなたが絞首台にかけられてから十日後のことだったからです。目の前が真っ暗になった。  探偵役の学者が逮捕されて挙句の果てに処刑されてしまうという話でした。あざやかに事件を解決するミステリーが多いなか、こういう探偵は新鮮でした。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加