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 ある飛行機乗り、撃墜されて島に降りたつ。本土へ戻るために船がほしい。道ばたに老人がいたので話しかける。船はどこにあるか。老人は海沿いに住んでいる男が持っていると答える。だが、その男の家は爆弾で破壊された。じゃあ、いまその男はどこにいると聞くと、赤い家が見えるだろう。そこに妻とともにいる。だが、いまは妻しか家にいないだろうな。そうか。その男が帰ってくるまで赤い家で待つことにしよう。立ち去ろうとする飛行機乗りに老人が話しかけた。ひとつ覚えておいたほうがいい。男と妻の家に爆弾が落ちたとき、その家に娘がいた。飛行機乗りはその話を頭に入れて赤い家へ向かった。赤い家につくと、老人のいうとおり女性がいた。予想より老いた女性だった。その女性に船を持っているあなたの夫を探しているのですがとたずねる。女性は家の外に出て、あの道ばたにいるのがわたしの夫さといった。  娘を亡くした夫婦に翻弄される飛行機乗りの話でした。娘を亡くすまでは普通に暮らしていたのでしょうね。
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