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 ある飛行機乗り、敵の砲弾にあたって片足を失った。残った足と気力で飛行機を飛ばしているが限界が来る。機体から脱出して落ちていく。目が覚めると、病院にいた。看護師がいる。片足を失ったのは本当らしい。医者が来て診察をする。軍の上官が数日後に事情を聴きに来るそうだ。体を動かすのも自由にならないので看護師に体を拭いてもらう。看護師が愚痴を漏らす。硬水だと石鹸が泡立ちにくくてかなわないと。飛行機乗りは違和感を覚えた。軍の訓練でこの地に来たときは石鹸が泡立ってしかたなかった。飛行機乗りはひとりのときを見計らってベッドから這いだす。窓に近づいて外を見る。遠くの民家に看板があった。番犬に注意と外国語で書かれている。ここは自分の国ではない。捕虜になったのだ。飛行機乗りは敵につかまったときは余計なことをしゃべらないよう上官から教わっていた。それから数日後、敵国の軍人が自分の国の軍人を装ってやってきた。飛行機乗りは最低限のこと以外なにも答えなかった。  重傷を負って運びこまれた病院が、じつは敵国の病院だったという話でした。わずかな違和感から捕虜になったことを知った主人公は優秀ですね。
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