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 ある母親、家で家事をしていると、爆音が聞こえる。爆撃機の編隊が飛んでいく音だ。母親は空軍にいる子どものことを心配する。子どもが操縦する爆撃機が敵地に到着する。サーチライトが空を照らし、対空砲が爆撃機を迎えうつ。子どもが乗っている機体の翼に砲弾が炸裂した。片翼が火に包まれる。子どもは必死に機体を水平に保つ。炎はいっそう燃えあがり、機体を侵食していく。子どもは乗務員が脱出するのを見送る。母親は子どものそばへ行ってはやく逃げなさいという。もう手遅れだった。体の自由が利かない。ベルトも外せない。機体はバランスを失って地上へ落ちていく。母親がいる家の上空を爆撃機がとおる。帰還した機体だ。だが、その音は母親の耳に入らない。机に伏してすでに亡くなっているからだ。  これはどういう話なんでしょうかね。母親が幻覚を見て、そのなかで子どもの身代わりになったということでしょうか。
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