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 ある男性、有名芸能人の殺害を依頼される。若いころから人気のあったスターでいまは六十を越している。なぜ殺害するかというと、芸能人の死で儲けるためだ。芸能界とはそういうものである。男性、渋々ながら引きうけた。いままでも芸能人を葬ったことがあるが、ここまでの大物ははじめてだった。殺しの当日、男性は芸能人の家へ行った。妻が迎える。芸能人の四番目の妻だ。二階の部屋にいるからちゃんと殺してといわれる。男性は部屋へ入った。芸能人が背中を向けている。男性が銃を持って近づく。ふいに芸能人がしゃべった。わたしを殺しに来たな。すべて知っている。テレビを見てみろ。テレビをつける。ニュースがやっていた。芸能人が殺されたニュースだ。男性が凶悪犯として報道されている。はめられたのだ。きみもわたしも。芸能人がいう。空には報道ヘリ、となりの部屋にはマスコミが待機していた。部屋にマスコミがなだれ込んでくる。そのなかに男性の知りあいがいた。そうか、こいつが芸能人を殺した男性を殺して英雄になる筋書きだったのだ。男性はそうはならないと知りあいの殺し屋を撃ち殺した。その場が一瞬固まる。だが、マスコミの対応ははやかった。男性に向かって指示を飛ばす。あなたは芸能人を殺しに来た悪人を救った英雄です。そういう流れでいきますのでまちがいのないように。男性も芸能人も生きのびた。男性はっ最後に芸能人にサインをお願いした。  有名芸能人を殺しにいった男性ですが、罠にはめられていたという話でした。マスコミの上で踊らされている感じとその波をうまく乗りこなす芸能人がいい感じでした。
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