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 ある女性、理容室で働いている。客が来る。老人の客だ。不潔なので女性は好きではない。そもそもこの理容室で働くのも本意ではなかった。同棲していた彼氏に突然別れを告げられたのだ。学費を払うためにしかたなく働く必要があった。女性が老人の髪を切る。仕事をこなしていると、髪のなかから虫が飛びだしてきた。だが、よく見るとそれは猿であった。髪から髪へ飛び移っている。髪を切りおとしながら上へ進む。雪原が広がっていた。女性はさらに進む。星のてっぺんへ来た。そこに家があって、自分が暮らしていた。そこで女性は現実に戻る。老人が声をあげる。なにをしてくれたのだ。だが、女性は気にも留めなかった。ハサミを置いて店を出ていく。こんな仕事は終わりにして、外へ出るのだ。  不本意ながらある理容室で働いている女性の話でした。途中から客の頭がジャングルや雪原に見えたりするふしぎな話です。どういう解釈をすればいいのか悩みますね。
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