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 ある街に木の怪物がいる。そんな街に飲んだくれの男がいた。その男は過去になにかをやり残したような気がしていた。しかし、それがわからない。そんななか、怪物に食事を捧げる日がやってくる。当番制で今年はある男性が豚を捧げることになっている。いざ、怪物の前に豚を持ってきたら、男が男性にこんなことをいった。おれを木の上まで飛ばせるか。正気ではないと思いつつも、男性は男の願いを受けいれた。怪物に豚を与える。豚に気を取られているすきに、男は木の上へ登った。そこで昔の記憶がよみがえる。男は友人たちと遊んでいた。この木の怪物もそのひとり、昔は少女だった。魔女の弟子で、ある日突然魔女に捨てられてから、体が木へと変化していったのだ。それ以来、男も含めて友人たちは少女からはなれていった。完全に木に変わる前に少女はそのことを恨んでいた。男は思いだす。木になっている果実をとって地上に降りた。怪物が動きだす。目が窓に根が柱になって街から出ていった。その窓のなかに男は少女がいたのを見た気がした。昔の約束を覚えている。彼女は森で待っているだろう。  これもふしぎな世界観の話でした。その後ふたりがどうなったのか気になります。
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