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「いや、もしかしてふーみん君は、今日がラストだって気づいてないんじゃないか?知らなかったとか言って泣いて騒いでゴタゴタしたら面倒だから、力づくで抑え込むためにさ」
指先についたアイスをペロリと舐めながら、親指を立てて僕を見る。
「え?ラスト?」
「ほらな!やっぱり気づいてないわ」
ガンちゃんは僕のスマホを手にすると、あのアプリを開いた。
レイラの写真の隅に、小さくラストの文字があった。
「えっ!?」
「そういうこと!」
閉じたスマホを僕に渡すガンちゃん。
「ちょっと待って、またお金が必要なら働いて払うから」
「そういうことじゃねーんだな」
「えっ?じゃあ、どうすれば?」
今日でレイラに会えるのは最後、そう知らされたら明日から絶望しかない。わずかな期待を込めてレイラを見たけれど。
「ふーみんさ、もう大丈夫でしょ?」
「な、何が?」
「もう死にたくならないでしょ?」
「あ、それは…………」
思い返せば、あの夜、死場所を探してた時にガンちゃんと出会ったことから始まったんだった。
「だけど、また会いたい!ってか、ちゃんとお付き合いしたい!もう会えなくなるなんて、また死にたくなっちゃうよ」
まるで駄々をこねる幼児のように、レイラを見る。
バチン!
「あ、痛っ」
ガンちゃんからのデコピンだった。
「なんでそれくらいで死にたくなるんだよ!そんなこと言ってるうちはな、絶対レイラと付き合えるわけがない」
チッとガンちゃんが舌打ちをして睨んできたから、僕は黙って俯いた。
「本気で私と付き合いたいって思ってるの?」
わざわざ屈んで、俯いた僕を下から見上げるレイラ。
「……うん」
「私のどこが好き?」
「可愛い、優しい、楽しい、それに僕の話をたくさん聞いてくれる」
「で、そんな私と付き合うためならお金を払うの?」
「うん、頑張って働いてなんならバイトもしてお金払うから……」
バッチーン!
左頬に、レイラの本気の平手打ちをくらって、僕はその場に倒れ込んだ。
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