ラストデート

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「いったぁー」 ヒリヒリするほっぺをさすりながら、意味がわからずレイラを見ると、腕を組んで仁王立ちで背中を向けていた。 「私はね、売春(ウリ)をやってるわけじゃないの。お金を積まれても好きでもない男と付き合うのはお断り!」 _____だって、デート屋って 心の中で反論する。 「本気で付き合いたいと思うなら、私を惚れさせなさいよ。お金で私をなんとかするって買春と同じでしょ?」 「あ、それは……」 言われてハッとした。お金で付き合うのはいわゆる恋人のお付き合いとは違う。 「バッカだなぁ、お前は」 ガハハと笑うガンちゃん。 「私のことが好きって言うけど、ふーみんは私の何を知ってるの?」 「えっ?えっと、その……職業はモデルで、えっと身長は……」 「それってさ、アプリのプロフィールじゃん」 「そ、そうだけど」 _____レイラのこと、なんだっけ?他には…… 情報が何も出てこない。 愕然とした。あんなに毎日やり取りして、たくさん話してたのに、僕はレイラのことを何も知らない。僕はいつも僕のことばかりを一方的に話していただけだ。 「そういうとこだぞ?」 ガンちゃんが意味ありげに言う。 「そういう?」 「初対面だと見た目がいいにこしたことはないけどよ、距離が縮まれば上っ面だけじゃ付き合えないだろ」 「まぁ、それはそうだけど」 「いつまでもレイラの見た目だけしか、お前の関心はなかったってことだ」 「………」 「上っ面だけで判断するのはよ、SNSの無責任な書き込みだけを信じるやつらと同じだろ?本気で付き合いたいなら、もっと中身を知り合わないと近づけないだろ?なのにお前はそれをせず、お金でなんとかしようとした。そりゃレイラも怒るさ」 レイラは相変わらずあっちを向いたまま。 「じゃ、じゃあどうしてデート屋なんて?」 「だから言っただろ?だって」 「あ」 僕は何を勘違いしてたんだろう。レイラと知り合ったのはガンちゃんの強引なセッティングだったし、見た目が少しよくなったのはレイラのおかげだ。 僕は自分では何もしていなかったんだ。
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