4.「TILL ティル」(アメリカ)

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彼女は裁判の証言台に立ち、まず「遺体は間違いなく息子だった」と証言しなければなりませんでした。 なぜなら事件すら「白人を陥れるためのでっち上げだ」とされていたからです。白人男性だけの陪審員たちは結局、犯人2人を無罪とします。 しかし、メイミーの行動力は人々に勇気を与え、キング牧師らが率いた公民権運動を一気に加速させる原動力となったのです。 そして21世紀に入り、2020年の「ジョージ・フロイド殺害事件」を契機にBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動がアメリカのみならず、SNSを通じて全世界に拡大したことは記憶に新しいです。 多くの人々が声を上げた大規模なこの抗議運動のうねりは、2022年3月、人種差別による基づくリンチを連邦法の憎悪犯罪(ヘイトクライム)とする「エメット・ティル反リンチ法」の成立に繋がっていくのです。 それは実に、エメットの死から67年後のことでした。
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