友達以上、恋人未満

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ドキドキしながら部屋に入ると、私は琢磨を警戒しながらソファに腰を降ろした。 琢磨はベッドに勢いよく座ると、ゴロンと大の字になって、全面鏡張りの天井に映る自分の姿を眺めている。 しばらく2人の間に沈黙が続いたが、その気まづい雰囲気を取り払うかのように、琢磨は隣の空いたスペースをトントンと叩き「こっち、おいで」と私に声をかける。 私は「え〜?」と言いながらも琢磨と同じ方向に頭を並べて仰向けに寝転がった。2人で鏡越しに会話をする。なんか変なの…。 寝転がったまま、他愛も無い話をしていたが、琢磨はいきなり私の頭を片手でガシッと掴むと「顔も小さいけど、頭もちっちゃ」と言って笑っている。かと思うと、今度はくすぐってきた。私が声が出ないほど笑い転げていると、冗談めかして「一緒にお風呂入る?」なんて言ってくる。「何もしないって約束したじゃん」そう言いながらも、申し訳なさが込み上げてきた。 これは琢磨なりに、間を持たせるための悪ふざけだろう。だって、こんな場所で、やることやれずに何もできないのだから…。
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