404人が本棚に入れています
本棚に追加
私は彼女の背中を見送ると、昨日の出来事を思い出していた。
廊下ですれ違いざまに馬場さんから呼び止められた。
彼は企画部の仕事を多く担当している営業だ。
誰とでもすぐに打ち解けられる性格で、声が大きく豪快な人だ。頼りがいはあるが、体育会系のノリがあるから私はちょっと苦手なんだよね。
「今週の金曜日に企画部のメンバーと飲み会を計画してるんだけど、三上君がさぁ、橋本ちゃんも呼んで欲しいって言ってるんだよね…参加してくれない?」
企画部といえばクリエイティブな人材の集まり。きっと話についていけないし緊張する。…断りたい。何より誘われた理由に納得いかなかった。
「他部署との交流のために…」とかじゃないの? しかもデザイン部から私だけ? 挨拶ぐらいしかしたことない三上さんに…なんでそんなことお願いされなきゃいけないの!
「私が参加しても場違いですし、どうぞ皆さんだけで…」
やんわり断ろうとしたが、馬場さんは続けて
「三上君ね、橋本ちゃんが来ないなら自分も参加しないなんて言うんだよ。もちろん俺らの奢りだから来てよ!」
奢りとかそういうのはどうでもいいのよ。
なんだ三上さんのそのワガママは! 強引すぎるでしょ!
もぉ〜、頼まれた馬場さんも馬場さんだよ、ずるい!
そんな風に言われたら断れなくなるじゃん。
おかしいって思わないの?
しばらく返事に困っていたが、イイことを思いついた。
最初のコメントを投稿しよう!