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「すみません、お見苦しいところを……」
「いえ、使い魔はとても優れた白魔法使いの方が使役するものです。その歳で使い魔を使役していること自体、凄いと思いますわ」
おほほ……と適当な言葉を並べ、私はとにかくニコニコ笑っておく。
ちなみに使い魔は無事に王子が捕まえ、彼の影に大人しく潜んでいる。
そして、王子の言動を見ていて思ったことが一つ。
(この王子、私の正体知ってるな?)
おそらく、昨日の時点では気づいていなかった。
それは態度でわかる。
そして、現在進行形で昨日と態度が変わっていることから私について何か情報を得たと思った方が妥当だろう。
この国の王族だ。
王族お抱えの情報収集部隊もあるし、暫くすればバレるだろうとは思っていたが、早い。
早すぎる。
やっぱりアレか。
「ところで、第二王子殿下」
「リュシアンでいいよ」
「では、リュシアン殿下」
コイツもか。
昨日までとは違う食えない笑顔に私も笑みを深める。
「私、最近誰かに付きまとわれているような気がしますの。今までどうでもいいと思って放っておいたのですが……」
もう、バレているなら仕方なし。
「この方はどなたか、知りませんこと?」
私の後ろで呻き声が上がった。
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