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半分泣きながら、僕はお願いした。
僕は、僕自身の事よりも、劉生が大切だ。僕は、自分の事は好きになれないけど、劉生の事は大好きだ。僕は自分よりも劉生の事が好きで、劉生に移したくない。
「……」
暫しの間、劉生は睨むように僕を見下ろしていた。それから冷たい眼をして、舌打ちした。
「お前って、本当そうだよな。いつもギリギリまで我慢して、限界まで何も言わなくて、俺を頼ってこない。やっと俺が発見した頃には、いつも手遅れに近い。例の上司の時だってそうだっただろ。お前の様子がおかしいから、俺が聞いたんだ。そうじゃなかったら、お前言わなかっただろ。だから俺は、お前を外に出すのが嫌なんだよ。なんで夏海は、自分を大切にしないんだ? 俺は、お前のそう言うとこがイラつく」
冷たい声音で吐き捨てるようにそう言うと、劉生が出ていった。
その後玄関の扉の開閉音が聞こえてきたから、セフレのところにいったのかなって考えた。それは辛いけど、劉生に風邪がうつるよりはずっと良いから、初めてセフレという存在に、僕は感謝した。そしてギュッとシーツを手で握り、横向きになって静かに泣いた。
それから――少しすると、再びエントランスのドアの開閉音がした。
「なんで……」
戻ってきた劉生を見て、僕は思わず呟いた。袋から、熱さましようのシートや、液体状の強力な風邪薬、胸に貼る咳止めを取り出した劉生は、それらを僕に与えると、溜息をついて、目を据わらせた。
「それで様子を見て、午後には熱が去っても下がらなくても病院に行くからな」
「……」
「お前は体を、自分を、もっと大切にしろ」
劉生は、優しい。僕は涙ぐみながら頷いた。すると劉生が、怒ったような顔のままで、僕の頭を撫でた。そして再度、大きく吐息した。
「ありがとう劉生、大好き……」
「その好きは、ただの依存だろ?」
「え?」
「お前の好きは、俺への依存だろ。俺しかいないと思ってるんだろ? だから俺は、浮気するんだよ。その後だけは、お前が俺を本当に好きだって思うから。普段の夏海は、俺に依存しているだけだ」
「違うよ、そんな事ない! 確かに僕は、仕事もないし、養ってもらってるけど、でも――」
必死で僕は否定しようとした。
「そういう事じゃねぇよ。もっとずっと昔からだ」
「確かに僕には、劉生しかいないけど、でもそれは――」
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