それでも、スマホを見てしまう。

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「当然だろ。俺がお前の周囲を排除してるんだからな。友達にすら嫉妬する。あのな? 俺がどれほど夏海を愛してるか、お前は気づかなさすぎ。頼むから、とにかく自分を大切にしろ」  その言葉は嬉しかったが、僕は首を振る。 「……僕の頼みは、劉生、聞いてくれないよね? 僕のお願いは聞いてくれないよね? 僕は浮気しないけど、劉生がするのは、違う人間だからで、片っぽが約束しても、もう片方が守る義務はないんでしょう? だったら、僕はその頼みは聞けないよ。だから出ていって。僕は僕より劉生が大切だから、劉生に移したくないんだよ!」 「そういうところが、依存してるようにしか見えないんだよ。俺を好きなら、俺の好きなものを尊重しろよ」 「劉生の好きなもの……?」 「お前に決まってんだろ」  そう言うと、劉生が僕の額にキスをした。その温もりに、僕は目を閉じる。涙が零れ落ちていった。  午後になってから、僕は劉生に連れられて病院へと行った。風邪をこじらせていたらしく、僕は肺炎だと診断された。その日は病院で長い間点滴を受け、帰宅した。劉生は翌日も仕事を休み、ずっと僕の看病をしてくれた。その甲斐あって、僕は金曜日には、熱が下がり、胸が少し楽になった。劉生は、僕に卵がゆを作ってくれた。 「ちゃんと食って、早く治せ」  そしてその週は、朝帰りをせず、ずっと僕のそばにいた。  泣きそうなくらい、僕は嬉しかったが、笑う事にした。  頷いてから食べた、劉生の作ってくれた料理はとっても美味しかった。  翌週には、僕は全快した。本日は、土曜日だ。先週は何処にも出かけなかったから、きっと今週は、劉生は浮気をするのだろうと、僕は漠然と思った。勿論嫌だ。 「買い物に行ってくる」  劉生がそう言った時、僕は玄関に見送りに出て、思わずその袖の服を掴んだ。 「どうした?」 「……ねぇ、劉生」  行かないで、と。僕は言おうとした。でも、出来なかった。劉生に嫌われたくなかったというのもあるが、僕は劉生にここのところ存分に優しくしてもらったから、これ以上の幸せを求めたら悪いと思ったからだ。 「……ううん、なんでもない。いってらっしゃい」  僕は無理に笑顔を浮かべた。すると劉生もまた頷いて出ていった。
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