それでも、スマホを見てしまう。

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 キスをされていて、ぼんやりとしながら、僕は押し倒されて――そして、今と同じ獰猛な眼を見た。あんまりにもそのキスが気持ち良かったから、続けて左乳首を指先で愛撫された時も嫌悪感なんて全然なくて、どころか僕の体はすぐに反応した。 『なぁ、挿れていい?』  劉生のそんな言葉を聞く頃には、僕の後孔は既にローションでドロドロに解されていた。僕は未知の快楽の虜になっていて、酔いの勢いもあり、夢中で頷いた。 『同意だぞ?』  笑み交じりの劉生の声に、僕は何度も頷いた。そして、初めて性行為をした。  翌朝我に返って呆然とした僕は、慌てて帰った。  以降、英語のクラスで劉生を見る度に、僕は意識するようになってしまい、体を重ねた一ヶ月半後の講義が終わった時に、劉生を呼び止めた。そしてその場で告白した。 「ああ、いいよ。今俺フリーだから」  そう言って笑顔で劉生は頷いた。先日聞きそびれた連絡先をその場で教えてもらい、この日も二人で劉生のマンションに行って、当然のように二度目のSEXをした。こうして僕達は恋人同士になった。  以後、僕達はずっと付き合っている。同棲を始めたのは、就職して三ヶ月目に、僕が上司のパワハラに耐えかねて病んでいた時、劉生が『仕事はやめて、俺の家にくればいいだろ』と言ってくれたからだ。当時の僕の上司は、何かあればすぐに僕を怒鳴ったし、そうでない時は、ベタベタと僕に触ってきた。腰を抱かれるだけならまだマシな方で、うなじを舐められたり、酷い時には陰茎をスーツの上から撫でられたり、逆に上司の勃起したものを、背中に押し付けられたりしていた。セクハラもあったわけだ。それらを涙ぐみながら劉生に相談した結果、劉生が僕に提案してくれた結果だ。  そうして退職し、現在僕は劉生と同棲している。転職活動はお世辞にもうまくいっていない。失業保険も終わってしまった現在、僕は劉生に食べさせてもらっていると言える。申し訳なさが募るから、その分家事をしている。劉生は優しいから、それで十分だと言ってくれる。僕は劉生に甘えっぱなしだ。僕みたいに不甲斐なくて取り柄もない人間に、どうしてこんなに優しくしてくれるのかは、分からない。でも――優しいけど、劉生は、多分あんまり僕の事を好きではないと思う。  こう思う事にはネガティブな僕の空想ではなく、きちんと根拠がある。 「ちょっと出かけてくる」
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