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僕は劉生が大好きだ。
裸で向かい合いベッドの上で、出した舌を絡めて、僕達はキスをしている。
膝を立て、僕は劉生の陰茎を受け入れている。僕の太股に手をかけて、劉生はゆっくりと突き上げながら、僕の舌を甘く噛んだ。
「ぁァ……っッ……ん」
僕の口からは、鼻を抜けるような甘い声が零れる。体がぽかぽかとしていて、じっとりと汗をかいている僕は、必死で息継ぎをしながら、仰け反るようにして髪を揺らした。僕の髪の毛は、薄茶色。劉生が好きな色だ。『似合うよ』って言ってくれて以来、僕はずっとこの色に染めている。
無職の僕は、髪色も当然自由だ……。今は、劉生の家で同棲している。無一文になった僕に劉生は、『同棲しよう』って言ってくれた。劉生は、僕を少しは愛してくれていると思う。
「可愛いな、夏海は」
僕を見て、情欲に溢れた色を瞳に宿し、劉生が口角を持ち上げた。僕は、『は』という言葉がすごく気になった。劉生は、一体誰と僕を比較しているんだろう。そう考えると一気に悲しくなって、思わず僕は瞳を揺らした。
「考え事か? 余裕そうだな」
「ち、違――っ、あ、ああ!」
劉生の動きが激しくなり、より深くまで貫かれる。僕は泣くように喘いだ。気持ちの良い場所ばかりを突き上げられて、頭が真っ白に染まる。
「あぁ、ァ……あっ、ッ! ンん――! んァ!」
そのまま正面から押し倒され、より激しく抽挿された。僕は快楽に涙をこぼしながら、絶頂を促され、中だけで果てた。僕の体にドライを教え込んだのも劉生だ。そもそも僕は、劉生としか性行為をした経験が無いし、他の誰かと体を繋ごうと思った事も無い。
僕達の出会いは三年前。大学二年生の時だった。
その日は必修の英語のクラスの、学期末の飲み会があって、僕も参加した。同じクラスだった劉生は、僕の隣に座ると、僕に優しく青りんごサワーを注文してくれた。それが美味しくてジョッキを三回ほど空けた時、二十歳になって人生で初めてアルコールを飲んだ僕は、すっかり酔っぱらっていた。そうして気づいたら、僕は劉生のマンションにいた。
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