勉強会的な

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勉強会的な

「青倉、最初から言うぞ、よく聞け」 「ふん」 「この問題では質量が聞かれていて、物質量はg/molが単位、それでmolをさっきだしただろ」 「ふぉん」 「単位だけで考えてみて、ここをこれでかけてそれをこーしてうんたらかんたらで無理くりこう」 「ふぁぁぁーー!!」 「どうだ、少しはわかったろ」 「なにが?」 「なんにもない」 赤楚はついに悟りをひらいたみたいだ そんな哀れみの目を俺に向けないでくれ、そしてマイほっぺにシャーペンを突き刺さないでくれ ごめんな、俺、mol出した記憶ないんだわ もうすぐで中間テストが始まる時期で、序盤からつまずくどころか盛大にコケて全身複雑骨折しているいつもどおりの俺は休みの時間に地頭がいい赤楚に化学を教えてもらっている。 返事がアホみたいって言ったやつ誰だ 「ふ」ってなんか可愛いだろ、こんな活用形もあるんだぞ 「青倉、今日から部活休みだよな」 「あい……テスト週間入っちゃったからね…」ぐすっ 剣道したい…… 普段はこんなこと思わないのに… 勉強するぐらいなら追い込み練したいです… 「放課後も教室残ってやるぞ、いきなり青点を出すのは回避させたいからな」 「ぴぎぃぃー!!ごもっともだけど……ごもっともだけど……やだぁぁぁーーーー!!」 泣き真似をする俺に無慈悲な赤楚は情をかけてくれないどころかどんどん鬼畜になっていきやがる 青点というのはいわゆる赤点の半分以下の点数のことで、一発でも出したら留年が決定してしまう。死ぬほど無慈悲。 俺は中学の間ほとんど最下位で青点を2、3回出した記憶がある。 義務教育だから留年を免れてたけど、高等からは厳しくなってしまっている。 いや、無理だよ 平均点ないだけでもう赤点だし、平均点の半分以下ってだけで青点って…………俺に救いはないんかぁぁぁー!!(泣) 「泣き言言ってると放課後スパルタでいくぞ」 「ごめんなさい。」 屋上でご飯&睡眠学習という1日を卒無くこなした俺は赤楚の部屋で勉強会を開催していた。 「あの……タンジェントってこれいつ使うの?」 「…これはサインとコサインの________」 もう全っ然分かんない 何語?数学語?どこの国出身だよバカタレ 俺は制服のまんまだが、赤楚はスウェットに着替えており、色気がすごくて逞しい 冬になったら抱きつきたくなる人ランキングトップ3に入りますわ。 腕かっこいい〜血管浮き出てる〜手指長い〜肌白くてうらやま〜 「意識を飛ばすなバカ」 「すみません。」 怒られちった。ぴえん。 ふたりとも基本はノートにカリカリして静かに勉強しており、ときたま俺がわかんないと赤楚に質問する、というのがずーっと続いているわけだが、もう集中力ないよ。 1時間もやったよ?もう俺の集中力は使い果たされた。 やってられっかこんなの 「赤楚、俺1回部屋戻って服着替えてくるわ、ついでに飲み物も買ってくる」 「…………わかった、気をつけろよ」 「あいよ!」 俺は赤楚に休憩時間をもらったので喜々として自分の部屋に戻った。
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