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俺は部屋に戻ってからダボッとしたジャージズボンと首元がよれよれの使い古されたパーカーを着た。
赤楚に見られるだけだし、これで公共の場に出るわけじゃないから別にこれでいいよね
そう思って俺は財布を持って自販機に向かった。
が
ドスッ
「ぶっ」
「なんだお前」
普通に歩いて、普通に角を曲がって、普通じゃないほどのイケメンな人にぶつかった。
鼻潰れたんだが。
ふとネクタイの色を見ると青色なので1つ上の先輩だとわかる。
「あ、すみません」
イケメンだからってジロジロ見るのも普通に失礼なのでさっさと自販機に行こうと、ペコっと頭を下げて左側を通ろうとする。
ごくありふれた普通の対応だ。
ガシッ
「え?」
「ちょうどいい、お前にするわ」
相手は普通の人じゃなかったみたいだ。
え?怖っ、俺…かつあげされる?雑用?なになにっ
イケメンっていうかハンサムっていうか、とにかく黒髪の見惚れるほどのカックイイ先輩は俺の右腕をガシっと掴んでどこかに引き摺っている。
先輩だから振り払うとかしないほうがいいかな…
なんだよこいつ…
「あっあの…どこにいくんすか?俺、友達待たせてるんすけど…」
「何処って決まっているだろ、俺様の部屋だ。友達には当分戻らないと伝えろ」
「何故にあなたの部屋…なにするんすか?」
「はっ、そういうプレイがいいのか?無知に分からせるのも嫌いじゃない…いいな、気に入った」
「気ぃーに入られちゃったー」
「お前………いいな……久しぶりだから加減できないがいいだろ?」
「え?なにがっすか?加減はしてください」
何も目的がわからないまま先輩に付いていく。
腕の力強いからまじで振り払えないのだが?
足の長さがレベチだからついてくのに必死です。もう少し加減してください。
つーか友達待たせてるっつってんのになんやねんこいつ
プレイって何、えっちするんか?はっ倒すぞコノヤロー
「お前もそのつもりだったんだろ?人誘うようなエロい格好しやがって……鎖骨が丸見えじゃねえーか」
そう言って先輩は、肩側から心臓近くへ俺の鎖骨をなぞるようにサワっと触れる。
熱が先輩の手とともに肩から鎖骨へとゆっくりと移りかわる。
こしょぐったいので非常にやめていただきたい…
「………服って大抵鎖骨見えません?」
普通にセクハラなのだが?
初対面でこのノリってだいぶヤベェやつじゃね?
少し眉を顰めて、先輩の手をそっと押しのける
すると先輩は驚いたような表情をし、呆然としている。
なに?なにに気付いたのこいつ。
ノリについて来られなくてびっくりしちゃった?それとも大抵の服鎖骨見えることに今更気づいた?
え?俺ら生き別れの兄弟だったりした?
なになに?
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