第十六章 三毛は明日の夢を見る

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「それは、英トと珠緒ちゃんには遺伝子が見えているので、当たり前の事です」  鉄雄の弟、銀河はミサイルの攻撃で重傷を負ったが、再生が出来なかった。そこで、俺と珠緒が細胞を提供したのだ。  どうして俺と珠緒の細胞だったのかといえば、俺は人工体に近く、壊れない細胞を持っていた。そして珠緒は、進化した細胞を持っていた。銀河には、そんな特殊な再生が必要だったのだ。  しかし、銀河にはその特殊が出ないように調整されている。これは、英トと珠緒がいれば、当たり前にできる事だ。 「……でも、当たり前という事が、分からない連中が多い。銀河は、高額な値段を付けられていた」 「裏の連中ですね」  俺や珠緒にも、高額な値段が付けられているが、護衛している連中もいる。しかし、銀河には、何も無かった。 「銀河はどうしている?」 「!!!調べます」  銀河は、四乃守病院に入院している筈だ。四乃守も、裏社会の病院なので、あれこれ防御はある。でも、一般病棟ともなると、それは異なってくる。まず、様々な分野の人間が入院しているので、出入りが多い。 「銀河は、ベッドで眠ったままです」 「それは、本当に銀河か?」  銀河の容態は安定していて、後は目が覚めれば退院できる。だから、一般病棟に移された。しかし、それは裏を返すと、移動出来る状態になったという事だ。 「銀河ではないでしょうか?」 「脈拍、血圧。安定しているな。でも、これは違う」  それは、三毛の能力を使用すれば一目瞭然だ。このベッドで眠っている少年は、事故で植物状態になっている。そして、目覚める事はない。  そして、姿が別人になるかもしれないと聞かされていた、銀河の家族は、眠っている少年を銀河だと思い込んだ。 「やられた……」 「別人ですか!」
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