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「珠緒ちゃん、心臓は一つだったのか?」
「そうだよ。大きいけどね」
内臓の半分くらいが心臓なのだと、珠緒は自分の体で説明してくれた。
「鋼の心臓?」
「それは精神面の事かな?」
そして、珠緒によじ登っていたので、俺も見つかってしまった。
「オレンジのサル。これも新種だ、目以外が全部毛で覆われていて、玉みたいだ。それと目が綺麗……これは、自然界には存在しない色だ……それに、日差しを浴びるとオーロラみたいに揺らめく」
「夏目だ。目は親が薬物を浴びたせいだ」
そして、新種のサルは夏目とメモされていた。
「夏目サルか……改造種なのかな……でも、それにしては、配合が分からない」
「そうだね。この毛、他の生き物とは違っているね」
この子供達は、動物の観察日誌を付けていた。その日誌を借りると、物凄く詳細に記入されていて、分析などもあった。そして、餌の配合や、育て方まで詳細に記されていた。
「好物は梅干しと寿司。乳製品は不可。アレルギーがある」
「喋るサルは初めて知ったよ」
俺の事は、動物用の日誌に付けられていたが、珠緒には新しいノートを持ってきた。
「未分類の生命体。どこから来たの?」
「四乃守 珠緒。人間から産まれているよ。裏社会から来た」
四乃守と聞いて、少年は少し瞳を曇らせた。そして、女性の顔色を窺っていた。
「中に入って下さい。お茶にしましょう」
「外でいいです。お茶は持ってきましたので、今、淹れます」
俺は道原に頼んで、車からキャンプ道具を出して貰うと、湯を沸かして茶を淹れた。そして、女性に勧めた。
女性はにっこり笑うと茶を受け取り、適当な木を見つけて転がすと、座って茶を飲み始めた。
「子供達の前で話しても大丈夫ですか?」
「はい。大丈夫ですよ。我が家は、事情を知らないのは亭主だけです」
だから、亭主の隆志には修理に行って貰っているという。
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