第十六章 三毛は明日の夢を見る

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 銀河が一般病棟に移される時に、既に入れ替えられていたのだろう。そして、俺達は都夢の家を探していたので、銀河の事を忘れていた。  更に、ここが襲撃されている時に、銀河は裏社会からも移動されているのだろう。 「銀河の地理能力が重要ではありませんね……」 「俺と珠緒ちゃんの細胞だよ。生きたままの細胞は、本人と銀河にしかない」  だが、その細胞に仕掛けがある事を、犯人は知らない。 「状況を立て直す……」 「スタッフがいない事は、辛いですね」  俺一人では、出来る事に限りがある。今更ながら、公安のメンバーが優秀だったと分かった。  地下社会で飛行船を飛ばす。襲撃を仕掛ける。そして、証拠隠滅なのか口封じなのか、皆殺しにした。こんなに、派手に立ち回った相手を、俺は特定できていない。  そして、唯一、そんな事も可能にしてしまう相手を俺は知っていた。  だから慌てているが、安易に動けない。 「困った事に、四乃守も銀河が危険だと分かっていたが、存在の重要性を感じていなかった」 「又、作れるモノだったのですか……」  だから、研究体質は嫌いなのだ。  人間は又作ればいいという問題ではない。だが、それを四乃守に分からせるのは難しい。それは、四乃守は自身にさえも、知ってしまえば重要性を感じない一族なのだ。 「チャイルドワンや、樹来々と連携しないのですか?」 「裏社会で使うのは、どうかと思う」  だが、スタッフを揃えたい。 「梅花を育てるか……」 「そうですね。いいメンバーではありますが……少し、若い」  だが、銀河は梅花の生徒だ。梅花は仲間思いなので、もう動き出していそうだ。 「帰りますか……」 「そうだな」  そして梅花は若いので、経験が乏しく、何をしでかすのか分からない。
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