第十六章 三毛は明日の夢を見る

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「あ、三毛の夢は記憶ではないと言いましたね?それは、本当に過去を見ているという事ですか?」 「そうだ。だから三毛は、本人の知らない過去を、探る事が出来る」  三毛がいれば、恐竜の時代も体験する事が出来る。  だが、そんなファンタジーの世界よりも、気になる事があった。 「三毛は、兄の失踪の秘密を知っていた」  知っていたというよりも、過去には原因が存在していたのだ。そして、現在に至る。 「兄というのか、三毛にも秘密がある」 「俺達と同じ、人工体ですか?」  西海も、三毛の秘密に近づいていたらしい。 「設計された子供達」 「特殊能力を持った子供達ですね」  そして、三毛の兄は、自分達の秘密に気付き、弟を守ろうとした。 「怖いのは、未来よりも、過去を知られる事。未来はファンタジーで済むが、過去はリアルだ」  三毛は多分、この遺伝子の設計の部分を知る事が出来るのだ。そして、どうしたら特殊能力が出現するのか、知りたがっている組織は多い。 「特殊能力を奇跡の確率ではなく、普通に出現させる計算?そういうもの」  これは世羅が目指していた事にも近い。それを、他の者も行っていたという事だ。 「三毛の兄は、自分が囮になって逃げる事で、弟を隠しているのですか……」 「三毛は無能だとして、隠した。でも、三毛は無能ではない。物凄い能力だと思う」  でも隠さなくてはいけない。  そして、未来が見える兄ならば、逃げる事も可能だ。  だから、俺は三毛を守っていたい。 「……夏目さん、道原は分かりますが、三毛もお気に入りですか……」 「気に入った」  理由は分からないが、皆、とてもお気に入りだ。 「………………分かりました」 「どうして??そんなに苦悩する???」  でも今は、朝に向けて仮眠しておこう。 了
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