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庭でリゾットを食べていると、横にある納屋から、鉄雄と川上が出てきて、一緒に食べ始めた。
「夏目さん! いただきます」
「どうぞ」
鉄雄と川上はいい奴等で、俺の家の雑用を、嫌な顔もせずやってくれる。だから、俺も鉄雄と川上の分まで、飯を作る事が日常になっていた。
「夏目さん、通常社会には戻らないのですか?」
「戻れないだろう。死んだ事になっている」
地下社会は俺が生存している事を認めたので、地下社会の財産などは使用できるようになった。しかし、通常社会の死亡届けを、取り下げる事は難しい。
それは、俺の身代わりになったクローンの遺体が、あまりにも完璧だったせいだ。
「生きていました!では、戻れないのですか?」
「通常社会では無理だ」
通常社会では、遺体があれば死亡なのだ。
「それより、川上。どうして工房の看板が、一鉄夏目工房になっている?」
「一は俺の名前で、川上一機の一です。それと鉄雄の鉄、それで、前々から店を持つのならば、一鉄工房にすると決めていたのですが、夏目さんの家なので、一鉄工房夏目店にしようとしていたのです」
「そうしたら、登録がそれでは出来なくて、その本店なのに夏目店はできないとかで……」
そこで、一鉄夏目工房になってしまったらしい。
「一鉄工房でいいだろう」
「その名前には類似した店があったので、不可だったのです」
一鉄整備工場という登録が、既にあったらしい。
「では、どこかに本店を作って、一鉄工房夏目店にしよう」
「……すぐには出来ません」
しかし、登録は本物なので、修理、改造で営業しても構わないらしい。
「新規機械を作ってもいいのか?」
「武器以外ならば、OKです」
武器を作りたかった。
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