第十章 都夢の家 五

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「野菜を売って稼いでくるかな……」 「野菜では、そんなに儲からないだろう?そうか、自生している薬草を売るつもりか?」  薬草も毒草もあるので、ブレンドしてみよう。 「……すごく危険な気がしてきた……」 「夏目さんですから……」  すると、英トが自分の車を使ってもいいと言い溜息をついた。だが、そこに珠緒が割り込んできた。 「夏目ちゃん、僕の車を使っていいよ!」 「車椅子?」  珠緒は自分で車を運転する事はない。それは、目が離れすぎていて、正面がよく見えていないせいだ。そして、珠緒の視界は三百六十度あり複眼でもあるが、その処理に時間がかかり、正面のものにぶつかってしまう。 「うん!これから購入する!」 「自分で買います!」  山科に事情を話して、車を一台購入して貰おう。 「車中泊できるようにしよう。トイレも付ける。道原、一週間くらい旅しようか?」 「それは、いいですね」  強盗に襲われると怖いので、防弾でかつセンサーを付けておこう。そして、防御の為のミサイルを付け、夜は人が近づくと光るライトも付ける。多少でいいので、空も飛べるといい。 「完璧!」 「何を考えているのですか?夏目さん、涎!全く、変な事を考えるから、涎が出るのです」  道原は、俺の顔をティッシュで拭くと、毛を整えてくれた。既に道原は、面倒見がいいを通り越し、まるで俺の母親だ。 「面白過ぎて、涎出た」 「…………はい、追加ティッシュ」  道原は、俺がサルの姿だからいいものの、元の姿で涎を垂らしたら、幻滅されますよと心配していた。
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