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カミエルside
不快感の強い夢を見た。内容はよく覚えたいない。目を覚ました時、俺がいたのは医務室だった。
「……っ、」
養護教諭が俺を見て駆け寄って来る。頭が痛い。まだ勃ってる。クロは?なんで近くにいないの?
「まだラット状態だから安静にしていて。熱測ろうか」
そう言って俺の近くに伸びて来た手が俺は妙に怖くて振り払った。
「っ…」
「う”、クロは!?クロ、くろっ」
鼻が痛い。曲がる様な甘い匂いだ。気持ち悪い。
「おえ”、お”っ」
ベッドから落ちて、むせ返る様なまだ俺の中にある匂いに吐き気を抑えられなかった。シーツを引っ張っていたせいでベッドもぐちゃぐちゃだ。
「だ、大丈夫!?」
「う”え、ぅっ、くろ、ぐろ、っ」
ぐちゃぐちゃに泣いて、自分が何してるかも分からない。それなのにちんこが興奮を得てることだけは良くわかる。
「会長呼んでくるから、ちょっと待ってて!」
彼女はそう言って医務室から出て行った。助けて、なんでどっか行っちゃうの。
俺はまた、1人なの?
「カミュ」
その声は、クロの声じゃない。俺の嫌いな頭に響く気持ち悪い声だ。
ぎゅ、とそいつに抱きしめられる。頭は嫌だと言ってるのに本能が体を動かす。
そいつを押し倒して胸に触れる。ふわふわしている。
「ほら、噛んで良いよ」
そう言って手を広げる彼女の首筋はとても美味しそうで。
「は、はーっ…、くろ、くろ…」
俺が呼んでるのは一体誰だっけ?これ、だめだっけ?
まあなんでも良いか。
俺は自分の腕を強く噛んだ。怖い、怖い。
自分の頬を俺のかけら程の理性が殴って医務室から飛び出した。気持ち悪い、吐きそうだ。
周りは俺を異端の目で見つめる。そんなのもうどうでもいい。
「くろ、くろっ、助けて、ぐろっ」
「カミュ」
今度は、クロだ。目の前で手を広げたクロに強く抱きついてやっとの思いで息をする。
「ふ、ふーっ、ふ、う”」
クロは匂いから俺を覆う様に抱きしめて背中を叩く。心地いい。気持ちいい。
これは俺が求めていたものだ。温かい、百合の匂い。
「良い子」
「…離れないで、くろ……」
俺はそう呟いて、また意識を失った。
クロウェルside
離すまいと気を失って尚強く俺を抱きしめてるカミュ。可愛いなぁ。
匂いが鼻につく。マグラムは隔離されていたはずではないのか?
養護教諭は俺とカミュを見て少し驚いたように胸を撫で下ろしている。周りも俺たちを見て好奇の目を向けている。
「医務室はどうなってるんですか」
「カミエルくんが少し暴れて吐いちゃったから生徒会室で寝かせてあげてほしい。それから起きたら抑性剤飲ませてあげて」
暴れたのか。執務でカミュから離れたのがいけなかった。それに医務室の方から甘ったるい匂いを感じる。
マグラムが医務室にいるのか?だからカミュはこんなに壊れかかってるのか。俺はカミュの首に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。よかった、番ってない。
少しだけ不安になった。安全圏で暴れてもらわなきゃ困る。
「一回くらい痛い目見なきゃわからないか」
俺はそう呟いてカミュを持ち上げて生徒会室へと足を運んだ。
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