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そうして数日が経ったある日、少し早くないかと思うがあの女の謹慎が解けた。
酷い話だとは思うが主人公のあの女は理事長の子供だ。実際ゲームではミリ知ら豆知識程度にしか説明されなかったし生徒達は知らない。生徒会は知ってると思うけど。
理事長はだいぶ主人公に肩入れしている様だし、そう言う贔屓があるのかもしれない。
ただ奴のヒートは終わったばかりだから今は平気だろう。抑制剤薬師にもらわなきゃな、自衛のために。
俺は深くため息をついて首を捻った。
あとで街へ降りてかかりつけの薬師の所に直談判でも行こう。……まあ別に薬師は悪くないんだけど。
「…どうしたのカミュ、美味しくない?」
「!いや全然。美味しいよ」
俺はへら、と笑ってまたご飯を頬張る。いつも通りおいしい。
「……やっぱり心配?マグラム本当にどうにかしようか」
俺の頬に触れて髪をする、と指に通すクロ。
「平気。俺より心配しないでよ」
顔が怖いからさ。
俺はすり、とクロの手に擦り寄って隣に座るクロに身体を近づけた。
「ごめんクロ。噛んじゃったの全然治らない」
「ん?あぁ、気にしなくて良い。」
クロは優しい顔に戻って俺の頭を撫でた。光の魔法の使い手なのだから傷はすぐ癒えるはずなのだが…、俺が黒魔術を使うからかな?
「なにかあったらまたクロが守ってね」
「もちろん」
ちゅ、と頬にキスをされた。と思っていたら後ろから声がする。
「生徒会室でいちゃつかないでもろてもええですかー」
「あ、先輩」
生徒会役員であるらしかった先輩、ことラクルー。生徒会室に戻って来たのだろう。
「さっきお前の因縁の女に会って来たで」
「どうして」
「処理」
「ああ」
なんかすんません、と思いつつ俺は頷いた。俺らのそんなやり取りの何かが気に入らなかったのか俺の腰をぐっと引くクロ。
「ど、どうしたのー…」
「別に?」
まあいいか、と俺はまたもぐもぐ食事を再開した。ラクルーが蛇に睨まれた蛙…いやハムスターの様になっていたとも知らずに。
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