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「麗ちゃん。今度友だちの店でコンサートを開くんだ。僕たちのバンドも出るんだよ」
「わあ、素敵。令くん、歌が上手だからなあ」
思い返すと、僕と麗ちゃんが一緒に暮らし始めるようになってから、二人で何かしたことって、あったかな。
このコンサートのためにも、僕は休みごとに友だちとスタジオに入り、練習を続けることになる。
「麗ちゃんも聴きに来てくれる?」
「私、行っていいの?」
「もちろんだよ」
「嬉しい。じゃあ私、令くんのママと行く」
麗ちゃんも母もおしゃれをして来てくれた。最近では母も「令草よりも麗ちゃんの方がかわいい」なんて言っている。
コンサートの打ち上げで、僕は飲み過ぎた。
「もうしょうがないなあ。令くん、しっかりして」
タクシーでマンションまで帰ると、麗ちゃんは僕の服を脱がせてパジャマを着せ歯ブラシをくわえさせ歯を磨かせ、ベッドに寝かせてくれた。
その時突然、罪悪感が襲ってきた。
「ごめん、麗ちゃん。僕は好き勝手しているよね。これからはもっと麗ちゃんを大切にする」
「いいのよ。私、無理をしていないよ。令くんはみんなの令くんなんだから。でも私がここにいることを覚えていてね。私は令くんの一番近くにいられるのが幸せよ」
こんな人がいたら、令草さんを任せられます。
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