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「でも、なら、何故探偵なんか……」
そうだね。
きっと不思議だろう。
嫌なことが起こりうる、むしろ嫌なことだらけの探偵なんてやらなければいいのに、と。
「平さんのために、あの人がこの力を必要とする限りは、力になりたいんだよ」
こんな俺を拾ってくれたあの日から、そう誓っている。
彼に、いらない、と言われるその日まで。
彼の側で支えるんだと。
「そんなに社長のこと……」
何か勘違いしていそうな里斗くん。
「僕、応援してます!」
ほら。
いやいや、違うよ。
とつい声に出して笑ってしまう。
へ?というアホ面がコチラを見つめていて、更に笑いが止まらなくなる。
真剣な話をしている2人に聞こえないよう抑えるので必死だ。
涙まで出てくる始末。
「何、玲音泣かしとんねん!しかも泣き顔見て顔赤くしよってからに!!」
タイミング悪く入ってきた平さんに、無駄に怒られてアワアワしている里斗くん。
それにより、ますます笑いは止まらなくなる。
そろそろ可哀想かな、と必死に無実を訴える里斗くんに助太刀。
「平さん。隣で貴方を支えたいって話ですよ」
「なっっっ///よ、よし!結婚しよや!」
「や、やっぱり……」
「ブ………、ぶふぉwww」
また誤解を招いたらしい。
が、まぁいい。
『自分すごいやん!行き場ないんやったら、一緒に探偵やらへん?ウチの上空いてるで』
『その嫌な記憶ってやつ、無くならんとしても、思い出す余裕が無きゃえぇんやろ?毎ッ日色んなことあって、慌ただしく過ごして、意識的に思い出さんくすればいいんや』
『苦しいときは俺がおるから、助け呼びぃ。な』
自分が嫌で嫌で仕方なかったあの頃。
逃げ出してきたこの場所で。
救い上げてくれたのは。
駆け出しの、男前なポンコツ探偵だった。
深くは聞かずに居場所をくれた。
毎日が新しい出来事で。
毎日が慌ただしい。
あれからもうすぐ1年が経とうとしている。
結婚、結婚と騒ぎ立てる平さんも。
俺と平さんを交互に見て顔を赤らめる里斗くんも。
吹き出した口を押さえて爆笑するスバルさんも。
みんな、大好き。
心地よいこの場所が安心できる俺の居場所。
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