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「奥様とは、今日お会いしたいですか?」
老紳士からの質問に半信半疑の私は、どうしようか迷ってしまった。
本当に妻と会えるのなら、すぐにでも会いたい気持ちでいっぱいだが、今の私はこのお店のことを信じることができていない。
できるだけ不安を払拭するために、聞きたいことは何でも聞いておこうと思った。
「すぐに妻と会えるのですか?」
老紳士は笑顔で答えてくれた。
「奥様と会うために、2時間程度準備のお時間をください。
今日でしたら今11時30分ですが、お昼休みの時間をいただきたいので、そうですね14時30分以降でしたら対応できます。
今日は、お忙しいようでしたら、予約していただいて後日でもかまいません。」
今日は、せっかくここまで来たのだし、いつか妻と会いたいと思ってる私は、思い切って今日妻と会うことをお願いすることにした。
「お会いするために、奥様の氏名、他界した時の年齢、お写真ありますか?」
老紳士からの質問の意図がわからなかったので、
「なぜ、そのような情報が必要なのですか?」
と質問すると、
「奥様を探すためです。」
と答えてくれた。
私は、手に持っていたスマートフォンのメールの本文に、妻の氏名、他界した時の年齢を記載し、妻の写真を添付して老紳士から受け取った名刺に書かれているメールアドレスに送信した。
「ありがとうございます。
奥様とお会いできるように、準備いたします。」
老紳士の対応に私は、
「よろしくお願いいたします。」
と言って店を出た。
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