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一旦店を出た私は、レストランで昼食を済ませてからコーヒーショップで時間を潰すことにした。
コーヒーを飲みながら、もし妻と会うことができたら何から話そうかと考えていた。
時間が経つにつれて、なぜか緊張してきた。
考えがまとまらないまま時間は過ぎてしまい、14時15分を過ぎた頃コーヒーショップを出て『再会の館』に向かった。
「ごめんください」
お店に入ると老紳士が出てきて、
「準備できております。
こちらへどうぞ!」
と奥の部屋に案内してくれた。
白い壁の8畳間程度の少し広い部屋は窓もなく仕切られた部屋で、何も物が置いてなくて殺風景な感じだった。
老紳士が、
「あちらの壁に向かって、お立ちください。
少しの時間、部屋の中の照明が消えて暗くなります。
照明がついて明るくなったら、奥様とお話しできます。
時間は10分程度です。
それから、この部屋は防音になっていて、外に音は漏れませんから奥様と自由にお話ししてください。」
と説明してくれたので私は、
「はい、わかりました。」
と答えて老紳士から指示された白い壁に向かって立つと、老紳士は部屋から出て行った。
間もなく部屋の照明が消えて真っ暗な状態になり、ほどなく照明がついて明るくなった。
すると私の目の前に、妻が立っていた。
「紗季」
思わず私の目からは、涙が溢れ出した。
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