蜜愛03 相惚

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 柊二は、真っ赤になって見上げてくる野乃花に、困った顔を向けた。 「野乃花、ごめん。もう限界」 「………ぇっ…と」 「しっかり解したつもりだけど、初めは痛いだろうし、苦しいかもしれない」 「……はぁ」 「それなのに、そんな顔して煽られたらもう…」 「っあの」  そう言って、ギューッと抱きしめられて、押し付けられた。  さらりとした野乃花の肌が、熱と擦れて刺激してくる。  柊二は、思わず熱い吐息を吐き出した。  そんな柊二が可愛く感じて、野乃花はその大きな身体を抱きしめた。 「柊二さんは、優しいですね。とても大事に抱いてくれます」 「…野乃花」 「大丈夫ですから、一気に…」 「…それは多分、無理だよ?野乃花」  柊二は、野乃花の手を取って、自分の熱を握らせた。  野乃花は、その大きさと硬さに驚き、その手に力が入る。  さらに手の中で、生き物のように脈打つので、困ってしまった。 「…っつ」 「コレが入るんだよ?そして、野乃花は初めてだ。多分無理。でも…」  柊二が、野乃花の瞳に自分の姿を映しながら、囁く。 「野乃花に煽られたから、乗ってあげるよ」  そう言って、何か言おうとした野乃花の唇を塞いだ。  柊二のキスは、野乃花の全てを吸い取った。  戸惑いの声も、  息遣いも。  そして、話し込むうちに落ち着いていた疼きも、また再び大きくなっていく。  野乃花のクリアになっていた思考も真っ白になった。  快楽を覚えた身体は、その刺激を求めて燃え上がり、全てを溶かしていく。  野乃花はあっという間にドロドロになった。  しがみついていた野乃花の力が抜けたのを感じ、  柊二は、膜を纏った熱を、野乃花の入り口に宛がった。  そして、耳元で優しく囁く。 「野乃花、入るよ?今みたいに力を抜いておいで」  白む頭で、柊二の言葉を遠くに聞いていると、  ミシッと軋むような感覚と、何かが侵入してくる違和感が、野乃花の皮膚を粟立てた。 「っん」 「野乃花、ダメだ。力抜け」  抜けと言われても…。  野乃花は、ざわざわと肌を粟立てる異物に戸惑った。 「野乃花」  柊二の手のひらが、緊張を解すように、体を優しく這っていく。  それが、粟立った皮膚を宥めていった。  野乃花の力が抜けると、また少し侵入してくる。  柊二は、野乃花の機微を探った。  痛がる様子は見られない。  だが、圧迫感は襲っているようで、野乃花の息が止まる。 「野乃花、ちゃんと息をして。もう少しだから」  首筋にキスを落としながら、野乃花の緊張を解す。  柊二は、探り探りゆっくり侵攻していった。  やがて野乃花は、そのまま柊二の熱を、全て呑み込んだ。  ギチギチにナカが満たされて、野乃花の身体が震える。  あまりの圧迫感に、息が止まる。  だけど、心の底からの幸福感で、その全てが吹き飛んだ。 「……っは…しゅぅじ、さん」  野乃花は、いろいろ満たされて、その手を柊二の頬に触れさせる。  柊二の瞳に写る自分の姿。  その色は、まさに柊二の色だった。  柊二は、自分の頬にある野乃花の手を包み込むと、  視線を合わせながら優しく囁く。 「野乃花、大丈夫?全部入ったよ」 「…はぃ」  柊二は一度、野乃花の身体を抱きしめ、身体が馴染むまで待った。  二人は、心の底から満たされていた。  野乃花は初めての逢瀬。  柊二は十数年ぶりの逢瀬。  二人の想いは、今日を切欠に何処までも燃え上がる。  何より柊二はもう、止まることは出来なかった。
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