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#3
新人「お帰りなさい」
課長「すんごいの出ちゃったよ。えーと長さがこれくらいで」
新人「課長、うんこの話はいいです。それより、面談のこと、決めました?」
課長「うん、決めた」
新人「で?」
課長「現状維持」
新人「・・・課長!そんなぁ」
課長「君には申し訳ないと思うんだけどね、私は」
新人「社長って器じゃないって言うんですか。違うんですよ」
課長「いや、社長室の椅子がさ、ふかふかし過ぎて寝ちゃうんだよね」
新人「椅子なんていいーっ!!」
課長「あ、ごめんなさい」
新人「こちらこそ大声出してすみません。いいですか課長。いま我が社に必要なのは企業の成長ではなく、社内の人間関係の改善なんです」
課長「こりゃまた」
新人「成長を重んじるあまりに過度な社内競争が激化して、人間関係はギスギス、陰口の応酬と足の引っ張り合い。だから僕は社内で孤立しています。課長と仲良くしていることで、バカが感染るぞなんてみんな平気で言うし、サイテーです」
課長「ごめんね」
新人「課長のせいじゃないですから謝らないでください。とにかく、僕は課長が社長になって、社内改善をしてもらいたいです。働く仲間と最高のチームができれば、業績だって自ずと上がるはずです!」
課長「うーん、この厚揚げちょっと固いね。焼き過ぎじゃないかな」
新人「課長!」
課長「あーすまんすまん。聞いてたよ。つまり、チーマーになりたいってことだよね」
新人「違います」
課長「あ、違った?ワンポイントマイナスだな」
新人「え、なんで僕のポイント減らされるんですか。戻してくださいよ」
課長「いや、私のポイントを減らしたんだよ。そして、根本君には1万ポイントプレゼント!」
新人「うおっしゃー!1万2円」
課長「さらに副賞として、根本君を次期社長に推薦しとく」
新人「・・・!課長、マジですか」
課長「実はさっきトイレからオヤジに電話してさ、もうじきここに来るから、さっきの話、して」
新人「えええっ!しゃ、社長がここに?!オレ、同族でもないし、社長になるような・・・」
課長「同族も器も関係ないよ。実はオヤジからも頼まれていてさ。次期社長に相応しい人間がいたら教えてくれって。根本君は正直で、真っ直ぐで、会社のことを本気で考えているじゃない。こんなポンコツにもちゃんと付き合ってくれる優しさもある。うちの会社の次期社長に必要な資質って、人間力だと思うんだよねぇ」
新人「・・・課長」
課長「根本君、目から鼻水が垂れてるよ」
新人「涙。良いお年を」
課長「いきなりだな」
【了】
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