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咲耶、男の子になるの巻
その日。
甲賀シティは大変な騒動になっていた。
「ない!」
朝起きた咲耶は自分の胸を見、ぱんぱんと手で叩いて叫んだ。同時に、ズボンの中に違和感を感じて、パジャマのズボンを覗き込んでさらにシャウト。
「あるうううう!?」
事件だ。これは、まごうことなき事件だ。だってそうだろう。
これがアニメやラノベならともかく、一体どこの世界に“朝起きたら性転換してました”なんてことがあり得るのだろう。しかも、そんな風に大騒ぎしているのが咲耶だけではないのだ。
パジャマの状態でパニクっていた咲耶のところに、真っ青な顔して駆け込んできた母。彼女も彼女で、いつもの豊満な胸が見る影もないまな板になっているのである。
「さささささ咲耶!あんた、これ、どういうことかわかるう!?ああああ、あたし、男になってるんだけどどどどどどどど!へ、へんな忍術とか使ったんじゃないでしょうね!?」
「してない!そんなことしてない!ていうか私も男の子になっちゃってるんだってばあ!」
ああ、見たくはなかった。微妙にあおーく髭が生えてる母の顔など。
そしてやりたくはなかった。母と、微妙に野太い声での口論なんて!
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