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「お、おお……」
とりあえずこれは一大事と、ジャージを着ていざ甲賀シティへ出てみた。今日が平日じゃなくて本当に良かったと思う。流石に、がっつり男の体で女子の制服を着る勇気は自分にはない。
明らかに、騒いでいるのは咲耶たちだけではないようだった。女子高校生の制服を着た少年、男子高校生の制服を着た少女。中年のおばさんっぽいスカートを着たおじさんと、真っ青な顔でどこかに電話をかけている、裾や袖の余ったスーツ姿の女性。
誰も彼も、性転換してしまっている模様。一体全体どうして、こんなことになってしまっているのだろうか。そして。
「お、おおおおおおお……」
コンガが店長を務めるコンビニに駆け込んだところで、咲耶は思わず呟いたのだった。
「せ、セクシーなマウンテンメスゴリラになってらっしゃる?」
「メスゴリラとか言わないで!私だって泣きそうなんだからあ!」
いかにもゴリラ!な姿だったコンガは、それはもう立派でボインなセクシーゴリラになっていた。制服の胸元がもう、ぱっつんぱっつんになっている。今にも布地が破れそうで、非常にえっちだ。
そして同じくバイトに来た店員であろう女性に泣きつかれて、一生懸命慰めている最中だった模様で。
「俺!昨晩は彼女と熱い夜を過ごしたんですよ!朝が来たらこの体だったんですよおお!」
そのワイシャツにエプロン姿の女性は、どうやら元男性だったらしい。おいおいとコンガに泣きついている。
「彼女と同じベッドで起きたら、性別がこんな風に入れ替わってるんです!ぜ、全裸の俺を見て、彼女が盛り上がっちゃって、そ、それで!それでえええ!」
「ああうん、もう皆まで言わなくていいから。ここ、未成年いるからね?あんま赤裸々な話しないでね?」
「早く、早く元に戻す方法見つけてください!でないと俺、今晩も彼女に抱かれてしまいますううううう!いや、もうあの子相手ならいいんじゃないかって気がし始めてるのが怖くってええええええええええ!」
コンガはものすごく嫌そうにしているが、今どきの女子高校生はちゃんとベッドの上の知識もあるのだ、残念ながら。言いたいことは全部わかってしまい、咲耶はげえ、という気持ちになる。
そして、ほぼ同じタイミングでコンビニ来たネムが、ぼそりと呟いたのだった。
「リア充爆発しろとしか思わねえ」
「ネムちゃん、気持ちはわかるけど、これはさすがに気の毒だって……」
あかんと思ったのか、シャオランが苦笑いをしてツッコミを入れていたのだった。なお、二人ともやっぱり男子になっている模様。結構なイケメンなのが、なんだか悔しい気がしないでもない。
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