152人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
今日は私の25歳の誕生日。だから、達也が私のお気に入りのケーキ屋さんの誕生日ケーキを予約してくれていた。
ソファーから立ち上がった私は、幸せな気分で達也の背中を追いかける。
達也は、私の婚約者だ。来月の大安の日曜日に結婚式を挙げることが決まっていて、二ヶ月ほど前から一緒に暮らしている。
「都ー、フォークとお皿出して」
「はーい」
テーブルに食器を用意して四号サイズのホールケーキを出すと、達也が蝋燭に火をつけてくれる。
「都、誕生日おめでとう」
「ありがとう」
ケーキの写真を撮ってから、蝋燭の火を吹き消す。
達也とふたりで仲良くケーキを食べてから、私は撮ったばかりの写真をアプリで加工した。
《25歳になりました! 今年は特別素敵な年になりそうです》
私の結婚を知っている人だけに匂わせるような一文を添えて、誕生日ケーキの写真をSNSに投稿する。すぐに反応してくれる友人達からのコメントに応えていると、DMが届いた。
苺のパフェのアイコンの、フォロー外のアカウントからだ。イタズラの可能性を考えて開けずに削除しようかと思ったけれど、Masanoriいうアカウント名にひっかかるものを感じる。
少し迷ってからDMを開いた私は、思わず目を瞬いた。
《都、25歳のお誕生日おめでとう。いつも都の幸せを願っています。父より》
DMの送り主が父を名乗る人物だったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!