おまけ 3月22日 朝

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おまけ 3月22日 朝

「だから! 起こしてって言ったじゃん!」 「起こしたよ、何度も。アキが起きねえんだよ」 短縮日課だけど当然朝はいつもと同じ時間に出なければならない。ユウはため息をついてネクタイをしめた。 俺は脱ぎ捨てて揉まれてぐちゃぐちゃになったワイシャツを着ていくわけにはいかなかったから、一度家にもどらなければならない。 「先行くぞ」 「だめ! 待ってて!」 ユウの家からとはいえ朝帰りなんかしたら叱られるのは必至だ。外出禁止の期間が伸びてしまうかもしれない。つまり、親にばれないように窓から帰らないと。 俺は昨日着ていた服一式を抱えると屋根に飛び移った。 「絶対に! 待っててよ!」 ユウはベランダの柵に頬づえをついて、やれやれと言うように手を振った。 甘い夜の次の朝は、ちょっぴりビターでとびきり忙しい。 fin.
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