愛渦

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 やはり、図鑑で調べるほかないという考えに至った。しかし、今さっき食べた魚はどのような見た目をしていただろうか? 思い出せない。もう一度、この目で確認しなければ。  仕方がないので、またまた弁当屋へ向かい、チキン南蛮弁当を購入した。  家に帰ってから、すぐに弁当の中身を洗濯槽に放り込んだ。だが、待てど暮らせど魚は現れない。弁当の中身がすべて底に沈みきってなお、現れない。洗濯機の前で座って待っていたが、そのまま俺は眠りに落ちてしまった。  そろそろ晩御飯にしましょうか。 「とてもお腹が空いているんだ。次からはもっと早く準備してほしい」  ごめんなさい。仕込みに時間が掛かってしまいました。今から握りますね。 「寿司なんか出前を頼めば済む話だろう。家で握るなんて聞いたことがない」  お寿司が好きと言ってらっしゃいましたよね。お喜びになるかと思い、用意した次第でございます。 「なぜ作るという発想に至るのだ。寿司屋に行けばいいだろう。素人の握った寿司なんぞ食べたくはない」  それでは、今からお寿司屋さんに行きましょう。それとも、出前を頼みましょうか? 「よしてくれ。腹が減っていると言っているだろう。もうお前の握った寿司で結構だ」  承知しました。お手数ですが、箸は自分で準備してください。 「箸がどこにあるのか分からん」  食器棚の上から二番目の右の引き出しの中です。ここはあなたの家ですよ。 「お前が来てから物の位置が変わったのだ。慣れていないから覚えていないのも当然のことだろう」  申し訳ありません。不快な思いをさせてしまって。 「不快とまでは言っていない。いいから黙って箸も用意してくれ」  私はあなたの期待に応えられているでしょうか。 「空腹だと言っている。頼むから早くしてくれ」  あなたは私のことをどれだけ理解してくれていますか?
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