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その日の学校からの帰り道。みどり先生とそっくりのすらりとした後ろ姿の女性が踏切で立ち止まっていた。先生ではない。まだ学校にいるはずだから。
不意に僕はその人のことを無性に抱きしめたくなった。華奢な体を互いの骨が軋むまで力いっぱい抱きすくめて、長い黒髪に顔をうずめてその匂いをかぎたかった。理由なんて考えらえない獣のように暴力的な衝動だった。
轟音を上げて電車が走り抜けたとき、ザワザワと顔を煽られて僕は悟った。
自分がみどり先生に恋していることを。
その日を境に部室には行くのは止めた。
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