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ジーパンのポケットの中にそう書かれた紙が入っていた。
脱いだものを洗濯に出す時、ポケットの中のライターやタバコを出し忘れてつい洗濯にかけてしまう事は誰でも一度はあるが、私のご主人様はそういう癖が多く、奥様も困っていらっしゃったがこういうケースは初めてだった。
「何故ポケットに入っていたのか」「どうしてポケットに入れたのか」「なんでポケットから出し忘れたのか」など色々気になる点はあるものの、この「第一問」の意味は何なのか? 「誰が誰宛てに書いたものなのか」そちらのほうがとても気になる。
「年上の妹を持つ事は出来るか」という問いに対してはイエスで間違いないだろう。姉妹の長女と結婚すれば年下の義理の妹は出来る。けれどこれは結婚相手の家族構成をわかっていないと出来ないことだ。そして「年上の弟」または「年下の兄か姉」と言い換えても答えはイエスになる問題でもあるがどうしてその中から「年上の妹」を選んだのか、考えられるのは二種類。
自分と結婚すると年上の義理の妹が出来るけどそれでもいいかというプロポーズ的なもの。相手と結婚すれば自分には年上の義理の妹が出来るけどいいのかという自問自答。どちらが正解かといえばプロポーズではないかと私は思う「第一問」という前置きがあるという事は問題を出す側と答える側が別にいるのだろう。はっきりしているのはこの屋敷の中で誰かが近々結婚するという事ともう一つ「第二問」もきっとある。
「家政婦さん、洗濯機回した? 終わったらこっちを手伝って貰える?」
奥様がお呼びだ。
「はいただいま参ります!」
この問題のことは、屋敷の中の誰かが近い内に発表するだろう。守秘義務があるので触れないようにしておこう。私こと瀬戸内美晴はこの屋敷で雇われた家政婦に過ぎないのだから。
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