第二章 再会

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 ――……このままじゃ生きていけない。    昨夜は冷え込んだので、空き家に忍び込んで一夜を明かした。夜明けとともに、希望は決意をする。    ――街を出よう。    できるだけ早く、できるだけ遠くに、あの人の影響がないところまで。  最初からそのつもりだった。金が出来たら、すぐにでも、と。  ……でも、もっと早くそうすればよかった。    街行く人々は悲痛な面持ちで目を背ける。  心を痛めているに違いない。  こんなこと、本当はしたくないはずだ。    だけど、俺がいる限り悲しませる。苦しい思いをさせてしまう。    これ以上、黙って見ていることはできなかった。  見張られているのも気分が悪い。  あの男のもとに行くのも嫌だ。  ならばどうするか。        街の物陰に潜んでいた希望は、遠距離を走るトラックの幌が開いているのを見つけた。  出発する瞬間に、希望は走り出す。幌の隙間から荷台に飛び込んだ。  トラックは何事もなかったかのように、走り出した。
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