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その後
それから1年後──僕達は結婚した。反対もあったが、国内唯一のオメガということで、珍しさもあったのか、反対する人は日に日に減っていった‥‥‥。そして、結婚式当日は、たくさんの人に祝福されながらパレードを行うことが出来たのだった。
隣国から父と母も参加してくれて、パレードの最前線で、涙を流しながら喜んでくれていた。
ちなみに、養父に殿下との結婚の報告をすると、「それ見たことか」と言わんばかりの表情をしていた‥‥‥。今後は、領地経営をしながら殿下を補佐できるようにサポートをしてくれるらしい。ありがたく思いつつも、改めて養父は心強い存在だと感じていた。
それから、第2王子の正妻は絶世の美女‥‥‥。という、よく分からない噂が流れているみたいで、国外からもたくさんの人が訪れているらしかった。
(僕、男なんだけどなぁ‥‥‥)
口には出さずに、僕はパレードへ来てくれた人達に向けて笑顔で手を振っていた。
「どうかした?」
「ううん。幸せ者だなぁ‥‥‥。と思ってね」
「ああ、同感だ‥‥‥。家族を作ってもっと幸せになろう」
「‥‥‥えっと?」
「今日の夜も、仲良くしてくれ」
レオンハルト殿下は僕の肩を抱き寄せると、僕の指先を弄ぶように触っていた。最近、「忙しい」と言って、閨を共にするのを拒否していた事が、どうやら気になっていたみたいだ。
「今夜は、手加減してくださいね」
僕は殿下の手のひらを掴むと微笑んだ。殿下は少し困った顔で僕の手を握り返す。
「もちろん。手加減しながらステファンを全力で愛そう‥‥‥。私の愛が疑われる余地が生まれないくらいには」
「まだ根に持ってます?」
「さぁ‥‥‥。そんな事はないかな」
「どうだか‥‥‥」
パレードが終わると、僕達は手を取り合い城へ戻る道のりを一緒に辿ったのだった。
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